交易部2008年中国商業視察旅行

JAPAN-CHINA FRIENDSHIP ASSOCIATION OF KAGOSHIMA CITY

交易部2008年中国商業視察旅行

寧波の『国際日用品博覧会』見学と義烏・買付の旅

2008年6月7日(土)~11日(水)鹿児島発・着

参加者感想記


□ 視察と買い付けでこれまで義烏には6回訪れたことがある。寧波は今回が初めてだった。今回、義烏では帽子市場にいったが、この市場を訪れるのは3回目である。この近辺には帽子工場があり、卸しの店も多い。2件の卸売店を回り、冬物を300万円分船便送りで買い付けた。その他、手荷物として持ち帰る分を3パックほど購入した。

寧波の博覧会会場では、思いもかけず麦わら帽子の良いものを見つけ、早速商談した。帰鹿早々先方よりFAXが届き、近いうちに改めて現地の工場を訪問するつもりである。上海ではこれまでの取引先と従来通り商談、発注ができ、満足であった。

今回の旅では、異業種の方の意見を聞くことができ、参考になった。義烏・寧波それぞれのガイドがいろいろ心配してくれてありがたかった。ただ、移動の時間が長く時間的に余裕がなかった。また、天候も悪く、途中の風景が見られず残念であった。今後は、少しでいいので旅程中に観光・ショッピングなど遊びの要素が加わると良いのではないかと思う。

それにしても上海の発展ぶりには驚くばかりである。変化の速度に追い付けないほどの変わりようである。全体として勉強になった旅であった。

(有)マナベ帽子 眞鍋和観社長・眞鍋英子専務


□ 約40年前より中国の広州交易会には数回出向き、カー用品を仕入れて日本全国に卸していた。

20数年前に小売りに転向してからは、直接仕入れに出向くことは無くなっていた。今回、地元新聞に載った募集広告を見て、かねてより一度行ってみたいと思っていた「義烏」へのツアーに参加した。久しぶりのビジネス視察ツアーであったが、義烏の市場も街も期待以上であった。

義烏の福田市場の中にはオートバイ用品専門の卸売りが何店舗か軒を連ねており、思いのほか商品のボリュームがあり、また品質もこちらで通用すると思われるものが少なくなかった。午前中はそこで商談し、午後からは福田市場を出て、義烏市中のやはりオートバイ専門用品店がかたまって営業している場所へ行ってみた。が、こちらの方は福田市場内の業者と比して、店構えも商品もあまり精彩がなかった。

広州交易会は規模も大きく、商品もすべて輸出用でクオリティは非常に高い。しかし通常1回あたりの発注ロットは膨大な数量となり、地方企業には仕入れの敷居が高い。それに比べ、義烏市場においては中小零細がビジネスを始めるには手っとり早い小ロットでの輸入ができることが分かった。今後は異業種同士でまとまって買い付けに行き、コンテナに混載して鹿児島まで持ってくればよいと思う。

旅の日程としては義烏視察がもう1日あればよかった。鹿児島-上海線は昨今搭乗率が伸び悩んでいると聞くが、今後より利用されるようになるには、観光だけではリピート搭乗は望めないので、ビジネス客が増えるよう時間帯・曜日を便利にし、もっと広報活動をすることも必要。

義烏には再び行ってみようと思っており、継続的に輸入できるようにしたい。

三共商事㈱ 仙田淳一社長


□ 参加者全員がビジネスに繋がることを目的としていたツアーだったので、無駄のない充実感のある時間を共有できた。予定の組み方、宿泊先、食事、時間、現地の人との交流等、全てにおいて満足できた。

今回は仕入れをするつもりではなかったが、

1.現地商社と、交易部会、そうしん・外国為替課の村田氏との信頼関係を感じたこと

2.中国市場を実際に見て回り、中国製品の流通を理解できたこと

3.東京市場で最近よく見かける高級商品も中国製であることを知ったこと

上記の理由で、買わずにおれない「お得感」を感じたために多少の仕入れをした。

不安に思うことは、何年やり取りしていても検品トラ ブルがあるという話を聞いていること。交渉の際のやり取りを見ていて「売り手と買い手」の建設的な関係を構築させるのが難しいと感じたこと等から、新しい関係を築くのに時間がかかる、あるいは限定したなかでの取引になりがちなのかなと感じた。

<今後の交易部について>

赤塚会長の話の中にあった、

1.谷山港を活性化したい 

2.コンテナビジネスからトランクビジネスへという点について。

今すぐできることから始めるには、友好協会員の枠をはずして(鹿児島市日中友好協会の名は後から付いてくると思う)、まだ中国市場を見たことのない人に声をかけて、体験してもらい、少しの仕入れでも可能だということをPRする。

思いもよらないところが思いもよらない取引を発展させる可能性がこの中国にあると感じる。

逆にすでに取引をしている企業は、コンテナビジネスしか「できない」と思い込んでいた頭から、少ロットの組み合わせが可能という頭へ切り換えたとき、新たなビジネスがそこに生まれるかもしれない、と感じるのではないかと思う。

なんだかんだ言っても中国はやはり広い。安かろう悪かろうの中国では、もうなくなっている。

ただ無事に手元に届けばの話だが。

㈱鮫島産業 鮫島恵社長


□ 義烏へはこれまで5,6回行ったことがある。以前は市中の「小商品市場」が中心だったが、「福田市場」(義烏国際商貿市場)ができてから近年商品の質が上がったと感じる。義烏市の市政府が品質向上を指導しているとの話だ。今回見た中ではおもちゃ市場に興味深いものが多数あった。

今回の同行メンバーは皆個性的かつ楽しい方たちばかりで、一日中一緒にいても飽きることがなかった。今後も引き続きお付き合いが続くことを願っている。

中国自体にはこれまで30回以上は行っている。初めて中

国に行ったのは13年ほど前だが、初めてなのに懐かしさを

感じ、以来、北京放送などを聞いて中国語の勉強をした。これからも変わっていく中国を見続けていきたい。

新世紀㈱ 江藤正豊


義烏市場における商談について

貿易は、自社で1コンテナに仕立てられるかが肝要である。それが出来ないと商売としてなかなか成り立たない。しかし、貿易ビギナーは最初から1コンテナ数百万円のリスクを背負う事は難しい。そこで手っ取り早く買付けの世界に足を踏み込めるのが、10万点以上の小商品が取り扱われ、活気あふれる日用品雑貨卸市場の街「義烏」である。ここの最大の特徴は、小ロット(数量)・多品種・低価格で商品仕入れが可能なことだ。

一般的なパターンは、地元の貿易仲介業者兼通訳と市場内を回り、興味あるブースで商談買付けを行う。値引き交渉は中国人通訳を介して粘り強く行い、外国人価格を排除出来れば最高である。まとまった数量を購入する場合は市場で商品を見つけた後、近隣に生産工場があれば直接出向くのが得策である。買付けした様々な商品は貿易業者の倉庫に集められ、混載コンテナに仕立てられ日本に輸出される。代金決済は義烏では、1ブースで1コンテナ分の商品を買うことはまずないのでL/C(信用状)はほとんど使われない。中国で前金を支払い、残金は取りまとめをする仲介業者に、日本から後日TT(電信)送金する場合が多い。

最小販売ロットは、各ブース様々である。数個で売ってくれる所もあれば、百個以上とかダンボール一箱単位でしか売ってくれない場合もある。義烏以外で商談する場合は、一商品千個単位とか一万個以上と言われる場合もあるので、それに較べればはるかに購入しやすい。しかし、小口購入は段々難しくなって来ている。数年前は「サンプルとして買う」と言ったりしたが、日本人は一般的に数量は少ないのに品質は厳しいので、「日本人と取引しなくても、いくらでも注文はある」と言うスタンスの所も増えている。

また、義烏は主に中国人向けの中級品を扱う市場であり、検品が必要となる場合がある。中近東などのバイヤーは不良品が混じっていても、元々が低価格なので、歩留りを追及し検品はほとんどしない。日本では全てに厳格な品質が求められる。品質は年々向上している。しかし、この市場は余剰在庫・B級品・一流企業のアンテナショップ商品などが混在していることを忘れてはならない。見極めが大事である。

義烏市場が今後ますます発展していく魅力ある市場である事は間違いない。貿易には様々なリスクが伴うが、同市場においてもそれを一つ一つ解決し、前向きに取り組んでいくことが大切だと思う。

最後に、交易部会が今後果たせる役割としては、貿易ノウハウの習得に努め、貿易をしたい会員を多く募り、ビジネスツアーを派遣するなど商談の場を多く提供することではないだろうか。その結果、混載便を仕立てることができ、その後交易部会員が独り立ちできればこの上ない。それがひいては、鹿児島と中国の経済交流の活発化にもつながるはずだ。

鹿児島相互信用金庫 鹿児島県産品輸出支援室長

村田秀博